家族信託を「ただの紙」にしないための実務チェックリスト10

老後制度(家族信託・後見など)

ここまでの記事で、

  • 家族信託は「魔法の杖」ではない
  • 任意後見は「契約すれば安心」ではない
  • 法定後見は最後のブレーキだが不自由

という構造を整理してきました。

「じゃあ、自分の家の場合はどうすればいい?」

 そう考えている方のために、

金融機関のプロモーション担当として

数多くの相談事例や現場の実務を見てきた立場から、

家族信託を「動く布陣」にするための実務チェックリストを作成しました。

本格的に専門家へ相談に行く前に、この10項目を確認してみてください。

「何を守りたいか」が明確か?

「将来が不安だから」だけではなく、

具体的に

「自宅を売れるようにしたい」

「収益不動産の管理をバトンタッチしたい」など、

まずは守りたい優先順位を整理しましょう。

信託する財産(預金・不動産など)は絞り込んであるか?

すべての財産を預ける必要はありません。

当面の生活費や管理が必要な不動産など、

まずは「認知症になったら困るもの」を特定できていますか?

受託者は、誠実さだけでなく「管理」ができるか?

子どもなら誰でもいいわけではありません。

親の財産を分けて管理し、

定期的に収支を記録する事務作業が必要になります。

その「実働」を担う覚悟と余裕が受託者にありますか?

「予備の受託者」は想定しているか?

もし受託者(子どもなど)が先に倒れてしまったら、

その信託は止まってしまいます。

その時、第2の受託者として動ける人を決めておく「二段構え」が重要です

「信託用の口座」を作れる銀行に心当たりはあるか?

ここが最大のハードルです。

実は「どこの銀行でも信託の口座が作れる」わけではありません。

契約書を完成させた後で「うちでは扱えません」と断られないよう、

事前の銀行選びが肝心です

「公正証書」にするための費用と時間を把握しているか?

身内だけの「私文書」ではなく、

公証役場で「公正証書」にするのが実務上の大前提です。

数万〜十数万円の費用と、公証人との調整時間が必要です。

お金以外の「暮らしの手続き」は誰が担うか?

家族信託は「お金を動かす道具」ですが、

入院手続きや介護施設の契約といった

「身の回りの手続き(身上保護)」まではカバーできません。

そこを誰が担うのか、

家族間の役割分担もセットで考える必要があります。

他の親族(兄弟など)の理解は得られているか?

他の親族に内緒で進めると、

後で「勝手に財産を囲い込んだ」と疑われ、

最悪の場合「契約の無効」を訴えられる火種になります。

親族間の合意も、設計の大切な一部です。

第三者(信託監督人)を入れるべきか?

専門家などを「監督人」につけることで、

受託者が正しく管理していることを証明できます。

他の親族からの疑いを晴らし、

受託者を孤独にさせないための防衛策にもなります。

「信託の終わり」をどう描くか?

本人(委託者)が亡くなった後、

信託していた財産を誰が引き継ぐのか。

信託以外の財産をどう分けるか(遺言書との兼ね合い)も含め、

最後の出口までシミュレーションできていますか?

まとめ:準備とは「動く形」に整えること

家族信託は、契約書を作れば終わりではありません。

「誰が、どの口座で、どうやって親を守るか」

 その具体的なイメージが固まって初めて、

信託は「動く布陣」になります。

制度を知ることと、制度を動かせることは別物です。

このチェックリストが、

あなたの家庭に最適な備えを考えるきっかけになれば幸いです。


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