母の突然のがん宣告。金融プロの私が「家族の危機」に無力さと後悔を感じた理由

体験・コラム

「母ががんになった。もう手術は終わって、無事に治ったから大丈夫です。」

離れて暮らす父からLINEがあったのは、すべてが一段落した後でした。

父も母も、私に余計な心配をかけたくなかったのでしょう。

元気な父も、病気と闘った母も、二人で抱え込んで乗り越えてから、事後報告で伝えてくれたのです。

その話を聞いた瞬間、私は「お金のこと」以上に、胸を締め付けられるような感覚に襲われました。

「あぁ、いつ何が起こるか、本当にわからないな」
「お父さんは、どれほど焦っただろうか。もしものことがあったら、一人でやっていけるのかな」
「もし自分だったら、残された妻はどうなるんだろう」

次々と、考えたくなかった想像が頭をよぎりました。

金融のプロとして、一番悔しかったこと

私は金融業界で10年以上働き、宅建士やFP2級といった資格を持っています。
仕事ではこれまで、お客さまに「資産形成」や「リスク管理」の大切さを伝えてきました。

しかし、いざ自分の家族が危機に直面したとき、私の知識は何一つ役に立ちませんでした。
すべてが終わった後に知らされたという事情もありますが、「家族の役に立てなかった」という無力感だけが、強く心に残りました。

がん家系の自分にとって、「明日」の話だった

また、自分自身の「死生観」のようなものが、一気に現実味を帯びてきました。
私の家系はいわゆる「がん家系」です。母の知らせを聞いたとき、

「自分も、いつがんになるかわからない。その日は明日かもしれない」

そんな恐怖が、決して大げさではなく、リアルに背中を撫でました。

振り返ってみれば、社会人になってから、数字やノルマを追う毎日を過ごし、本当の意味で「誰かの役に立てている」という実感を持てずにいました。

「もし、誰の役にも立てないまま、自分もがんになってしまったら。きっと、心から後悔する」

そう強く思いました。

家族との関わり方も同じです。
親が元気なうちに、もっと話せたことがあったはず。
自分が仕事で身につけてきた知識を、もっと身近な人を守るために使うべきだったのではないか。

だからこそ伝えたい。家族で「お金と未来」を話す大切さ

だから私は、このブログ「干し柿ノート」を書くことに決めました。

仕事上の「誰か」ではなく、画面の向こうにいる「あなた」や、あなたの「家族」の役に立ちたい。
この無力感から得た教訓と、これまでの経験をすべてさらけ出すことで、一組でも多くの家族が後悔のない選択をできるようにしたいと思ったのです。

今、私の父は、自分が持っている資産額や、所有している不動産について、私を含め家族にほとんど話してくれません。
父なりの考えやプライドがあるのでしょう。

ただ、このまま「いざという時」が来たら、残された家族が困り果ててしまうことは、金融の現場を見てきた立場として、痛いほど想像がつきます。

きっと、これを読んでいる方の中にも、

「うちも似たような状況かもしれない」
「気にはなっているけれど、話題にできていない」

そう感じた方がいるのではないでしょうか。

だからこそ、今すぐ完璧な対策を取る必要はありません。
まずやってほしいのは、「家族で、お金や未来の話を共有しておくこと」です。

通帳がどこにあるのか。
どんな不動産を持っているのか。
どんな想いで、それを築いてきたのか。

元気なうち、動けるうちに話しておくことは、決して「縁起が悪いこと」ではありません。
それは、家族を守るための、最大の優しさだと私は思っています。

このブログでは、特定の金融機関のセールスではない、実体験に基づいた「リアルな対策」を発信していきます。
家族信託や相続といった制度の話も扱いますが、その前に「なぜ準備が必要なのか」という気持ちの部分から、丁寧に書いていくつもりです。

干し柿が時間をかけて甘く熟していくように、
皆さんの家族の未来が、少しずつでも安心できるものになるよう、じっくりと情報を届けていきたいと思っています。


「親が元気なうちに考えておきたい『お金の話』については、こちらにまとめています」

コメント

タイトルとURLをコピーしました