親の老後対策を考え始めると、
必ずこうなります。
「結局、どれが正解なんですか?」
家族信託、任意後見、法定後見、遺言、さらには生前の事務委任……。
調べれば調べるほど情報は増えるのに、
なぜか決められなくなる。
でもそれは、
あなたの理解力が足りないからではありません。
そもそも“正解を探す問い”が間違っている。
ただ、それだけです。
なぜ「正解」が見つからないのか
老後対策の制度は、
優劣で選ぶものではありません。
理由はシンプルで、
それぞれが守っている前提条件が違うからです。
にもかかわらず、
- 「どれが安心」
- 「どれがベスト?」
- 「どれを選ぶべき」
という聞き方をすると、
答えが出ないのは当然です。
そこで私は、
制度の名前から一度離れて、3つの質問から考えることをおすすめしています。
質問① いま、判断能力はあるか?
最初に考えるべきなのは、ここです。
- 「なぜこの対策が必要か」という理由に、本人が納得できているか
- いま結ぼうとしている契約の「メリットとデメリット」を両方理解できているか
これは「賢い・賢くない」の話ではありません。
現時点で、意思表示ができるかどうかの確認です。
この答え次第で、
使える選択肢と、使えない選択肢は
かなりはっきり分かれます。
質問② 家族は、どこまで関われるか?
次に考えるのが、家族との関係性です。
- 近くに住んでいるか
- 定期的に連絡を取れるか
- 資産の管理や判断を任せられる関係か
「家族がいるかどうか」ではありません。
現実的に、どこまで関われるかです。
「専門家に頼んで契約書を作れば安心」と思われがちですが、
それは間違いです。
「誰が銀行に行き、誰が施設と契約し、誰が資産を管理するのか」
などという泥臭い実務の担い手が決まっていない対策は、
いざという時に全く機能しません。
質問③ 守りたいのは、何か?
最後の質問が、これです。
- 資産を守りたいのか
- 日常生活を回したいのか
- それとも両方か
「とりあえず家族信託」のように手段から入ってしまうと、
いざという時に「やりたかったことが、その制度ではできない」というズレが起きます。
守りたい優先順位をはっきりさせることが、
失敗しない対策の第一歩です。
3つの答えが出ると、自然に道が分かれる
この3つの質問に答えるだけで、
- いま考えるべきこと
- まだ考えなくていいこと
が、自然に分かれてきます。
ここで大事なのは、
無理に結論を出さないこと。
老後対策は、
一発で決めるものではありません。
「うちは今、この状態なんだ」と
言葉にできるだけで、
すでに一歩前に進んでいます。
正解を探すより、整理が先
制度やサービス選びで迷っている人の多くは、
何も考えていないわけではありません。
むしろ、
一生懸命考えすぎて、混乱しているだけです。
だから私は、
正解を提示するよりも、
整理の仕方を伝えたいと思っています。
次回予告
次の記事では、
- 資産を守りたいのか
- 日常生活を回したいのか
- それとも両方か


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